こんにちは、ZUTTOWAKAI マガジン編集部です。プロテインの良い点と安全性について徹底調査するシリーズの15回目。今回は、「パントテン酸(ビタミンB5)」の安全性をご紹介します。
- 「パントテン酸って、あまり聞きなれないけれど、どんな良いことがあるの?」
- 「プロテインと一緒にとっても安全なの?」
そんな疑問に、信頼できる科学論文や公的機関のデータを基にお答えします。実はパントテン酸は、あなたがトレーニングで力を発揮し、しなやかなカラダを維持するための「縁の下の力持ち」とも言える重要な栄養素なのです。
この記事を読めば、パントテン酸がなぜあなたのトレーニング仲間として最適なのか、そして、いかに安心して付き合える成分であるかが、きっとご理解いただけるはずです。
なお、文章についている※印はどの論文あるいは公的機関の見解に記載があるかを示します。
50代からの筋力運動にパントテン酸が嬉しい「3つの理由」
パントテン酸は、ただ漠然とカラダに良いというわけではありません。特に筋力運動を行う50代以上の女性にとって、具体的で嬉しい3つの働きがあります。ここでは、その働きを「活力」「動き」「回復」の3つのキーワードで分かりやすく解説します。
理由1:トレーニングの活力を生み出す「エネルギーの源」
トレーニングを始めるとき、カラダには十分なエネルギーが必要です。あなたのカラダが自動車で、食事から摂る栄養がガソリンだと考えるとわかりやすいです。パントテン酸はそのガソリンに火をつけてエンジンを動かす「スパークプラグ」のような役割を担っています。
具体的には、パントテン酸は体内で「コエンザイムA(CoA)」という補酵素の重要な構成成分となります ※1。このCoAは、私たちが食事から摂取した糖質、脂質、たんぱく質を、筋肉を動かすための直接的なエネルギー源である「ATP(アデノシン三リン酸)」に変換する過程で不可欠な存在 ※2 ※3。このエネルギーを生み出す体内の工場(TCAサイクル)をスムーズに動かすためにパントテン酸は絶対に欠かせないのです。
つまり、パントテン酸をしっかり摂ることは、トレーニングを乗り切るための活力を内側から生み出し、パフォーマンスを支えることに直結します。
理由2:しなやかな筋肉の動きを支える「指令役」
スクワットで立ち上がる、ダンベルを持ち上げる。こうした一つひとつの動作は、脳からの指令が神経を通って筋肉に伝わることで可能になります。パントテン酸は、この指令を伝える重要な物質の材料となります。つまり、筋肉の動きそのものを支えているのがパントテン酸。
これは、部屋の電気をつける「スイッチ」に例えることができます。脳が「スイッチを押そう」と決めても、スイッチと電球をつなぐ配線がなければ明かりは灯りません。この配線の役割を果たすのが、神経伝達物質の「アセチルコリン」です。
アセチルコリンは、神経の末端から筋肉へ「収縮せよ」という指令を伝えるメッセンジャー ※4。そして、パントテン酸は、このアセチルコリンを体内で合成するために必要な材料の一つなのです ※5。
つまり、十分なパントテン酸があることで、脳からの指令がスムーズに筋肉へ伝わります。そうして、思った通りのしなやかで力強い動きが実現しやすくなるのです。
理由3:運動後のカラダをいたわる「調整役」
トレーニングは、カラダにとって一種の「良いストレス」です。このストレスから回復し、より強いカラダを築く過程が重要。ですが、パントテン酸はここでも頼りになる働きをします。
パントテン酸は、別名「抗ストレスビタミン」とも呼ばれています ※6。これは、ストレスに対抗するためのホルモン(コルチゾールなど)を分泌する「副腎」という臓器の働きをパントテン酸がサポートするからです ※7 ※8。トレーニングという物理的なストレスがかかった際、副腎が適切に機能すると、体内のバランスが保たれます。そうして、スムーズな回復が促されるのです。
ところが、パントテン酸が不足すると、このストレス応答がうまく機能しません。その結果、疲労感が長引いたり、回復が遅れたりする可能性が指摘されています ※9。トレーニング後のカラダを優しくいたわり、次のトレーニングに向けてコンディションを整えるのがパントテン酸。パントテン酸は、そんな落ち着いた「調整役」として、あなたの頑張りを支えてくれるのです。
「摂りすぎは大丈夫?」パントテン酸の安全性について
サプリメントを利用する上で、多くの方が気になるのが安全性です。特に「摂りすぎ」による影響は心配の種でしょう。しかし、パントテン酸に関しては、その心配はほとんど無用と言えます。科学的なデータに基づきパントテン酸の高い安全性を解説します。
専門機関が「上限いらず」と判断するほどの安全性
栄養素の安全性を示す指標の一つに「耐容上限量(UL)」があります。耐容上限量は、「健康な人が毎日摂取し続けても、健康に悪影響をおよぼすリスクがないとみなされる上限の量」のことです。
ところが、驚くべきことに世界の主要な公的機関が、この耐容上限量(UL)をパントテン酸に設定していません ※10 ※11 ※12。日本の厚生労働省、米国の医学研究所(IOM)や欧州食品安全機関(EFSA)といった公的機関が揃って設定していないのです。
その理由は非常にシンプル。
なぜなら、「通常の食事やサプリメントからの摂取において、過剰摂取による健康被害の報告がパントテン酸はほとんどない」からです ※13 ※14。実際に、研究目的で1日に10g(10,000mg)という、推奨量の2000倍もの極端な量を摂取した場合でも、報告された副作用は時折見られる軽い下痢程度 ※15 ※16。パントテン酸は水に溶けやすい性質。そのため、余分に摂取した分は尿として体外に排出され、体内に蓄積しにくいのです。これも、パントテン酸の安全性の高さにつながっています ※17。
サプリメントでのアレルギーは心配無用
時折、「ビタミンでアレルギーが起きる」という話を聞くことがあるかもしれません。しかし、これは主にビタミン類が配合された化粧品などを肌に塗った際に起こる「接触皮膚炎」のことを指しています。食事やサプリメントとして口から摂取する場合とは全く異なります ※18。
口から摂取するパントテン酸でアレルギー反応が起きたという信頼できる医学的報告は実質的に存在しません。経口摂取でのアレルギーリスクは極めて低いと考えられています。前述の通り、国際的な専門機関が上限量を設けていないません。それもアレルギー反応リスクの低さを示しています。したがって、安心して日々の栄養補給に取り入れることができる成分がパントテン酸なのです。
まとめ:賢く付き合って、もっと輝く毎日へ
パントテン酸(ビタミンB5)が、筋力運動に励む50代以上の女性にとっていかに有益で、かつ安全な栄養素であるかを今回は解説しました。
- 活力の源として: 体内のエネルギー工場を動かし、トレーニングのパフォーマンスを支える
- 動きの指令役として: 神経から筋肉への指令伝達を助け、しなやかな動きをサポートする
- 回復の調整役として: 「抗ストレスビタミン」として運動後のカラダをいたわり、回復を促す
これら3つの重要な役割を担う。しかも、国際的な専門機関が「上限量を設ける必要がない」と判断するほど安全性が高い。それがパントテン酸なのです。
日々の食事から摂取することが基本。ですが、食事だけでは不足しがちな分を、プロテインに配合されたパントテン酸で賢く補うことは、あなたの筋力運動の効果を最大限に引き出します。プロテインSUPER DRINKで補うパントテン酸はきっと、健康的で輝く毎日をあなたが送るための確かな一歩となるでしょう。
次回予告
次回は「葉酸」についてお伝えします。筋力を保ちたい大人世代にとっての必要性。安全性。SUPER DRINKに配合している理由。この3つをわかりやすくご紹介。
下の画像をタッチでご覧いただけます! 3分で読める美容と健康に役立つ読み物です。
出典・参考文献 一覧
- 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所. 「パントテン酸」. 『「健康食品」の安全性・有効性情報』.(日本の国立研究機関による解説。パントテン酸が体内で補酵素A(CoA)となり、エネルギー産生(TCAサイクル)や脂質代謝に深く関わっていることを図解付きで説明している。) ↩︎
- Institute of Medicine (US) Standing Committee on the Scientific Evaluation of Dietary Reference Intakes and its Panel on Folate, Other B Vitamins, and Choline. “Dietary Reference Intakes for Thiamin, Riboflavin, Niacin, Vitamin B6, Folate, Vitamin B12, Pantothenic Acid, Biotin, and Choline”. (1998).(米国医学研究所による包括的な報告書。パントテン酸の過剰摂取による健康被害の報告がないため、耐容上限量(UL)を設定していないことを明記している。) ↩︎
- (再掲)国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所. 「パントテン酸」. 『「健康食品」の安全性・有効性情報』. ↩︎
- 独立行政法人 農畜産業振興機構. 「神経伝達の仕組みと神経伝達物質」.(アセチルコリンが運動神経の末端から放出され、筋肉の受容体に結合することで筋収縮の指令を伝えるという、神経筋接合部における基本的なメカニズムを解説している。) ↩︎
- Chawla J, Kvarnberg D. “Hydrosoluble vitamins”. Handb Clin Neurol. 2014;120:891-914.(水溶性ビタミンに関する医学専門書の一章。パントテン酸が神経伝達物質であるアセチルコリンの合成に関与していることについて触れている。) ↩︎
- Gheita AA, Gheita TA, Kenawy SA. “The potential role of B5: A stitch in time and switch in cytokine”. Phytother Res. 2020;34(2):306-314.(ビタミンB5の役割に関するレビュー論文。パントテン酸が「抗ストレスビタミン」と呼ばれ、副腎の機能や免疫系の調整に関与し、ストレス応答や回復プロセスをサポートする可能性を論じている。) ↩︎
- (再掲)Gheita AA, Gheita TA, Kenawy SA. “The potential role of B5: A stitch in time and switch in cytokine”. Phytother Res. 2020;34(2):306-314. ↩︎
- 公益財団法人 長寿科学振興財団. 「パントテン酸の働きと1日の摂取量」. 健康長寿ネット.(日本の厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2025年版)」に基づき、パントテン酸の目安量(50代女性で5mg/日)を示すとともに、健康被害の報告がないため耐容上限量が設定されていないことを明記している。) ↩︎
- (再掲)Gheita AA, Gheita TA, Kenawy SA. “The potential role of B5: A stitch in time and switch in cytokine”. Phytother Res. 2020;34(2):306-314. ↩︎
- (再掲)Institute of Medicine (US) Standing Committee on the Scientific Evaluation of Dietary Reference Intakes and its Panel on Folate, Other B Vitamins, and Choline. “Dietary Reference Intakes for Thiamin, Riboflavin, Niacin, Vitamin B6, Folate, Vitamin B12, Pantothenic Acid, Biotin, and Choline”. (1998). ↩︎
- European Commission, Scientific Committee on Food. “Opinion of the Scientific Committee on Food on the Tolerable Upper Intake Level of Pantothenic Acid”. (2002).(欧州委員会の科学委員会による見解。米国と同様に、毒性が非常に低く、有害事象の報告がないことから、耐容上限量(UL)は設定できないと結論付けている。) ↩︎
- (再掲)公益財団法人 長寿科学振興財団. 「パントテン酸の働きと1日の摂取量」. 健康長寿ネット. ↩︎
- (再掲)Institute of Medicine (US) Standing Committee on the Scientific Evaluation of Dietary Reference Intakes and its Panel on Folate, Other B Vitamins, and Choline. “Dietary Reference Intakes for Thiamin, Riboflavin, Niacin, Vitamin B6, Folate, Vitamin B12, Pantothenic Acid, Biotin, and Choline”. (1998). ↩︎
- (再掲)European Commission, Scientific Committee on Food. “Opinion of the Scientific Committee on Food on the Tolerable Upper Intake Level of Pantothenic Acid”. (2002). ↩︎
- (再掲)European Commission, Scientific Committee on Food. “Opinion of the Scientific Committee on Food on the Tolerable Upper Intake Level of Pantothenic Acid”. (2002). ↩︎
- Freese R, Aarsland T, Bjørkevoll M. “Pantothenic acid – a scoping review for Nordic Nutrition Recommendations 2023”. Food Nutr Res. 2023;67.(2023年に発表された北欧栄養勧告のための最新のレビュー論文。1日に10〜20gという極めて高い用量を摂取した場合に、時折軽い下痢などが報告される程度であり、毒性は無視できるレベルであると述べている。) ↩︎
- (再掲)Chawla J, Kvarnberg D. “Hydrosoluble vitamins”. Handb Clin Neurol. 2014;120:891-914. ↩︎
- Romita P, Foti C, et al. “Allergic contact dermatitis from vitamins: a systematic review”. Health Sci Rep. 2022;5(5):e739.(ビタミンによるアレルギー性接触皮膚炎に関する系統的レビュー。アレルギー反応が主に化粧品などの外用(肌への塗布)によって引き起こされる問題であり、経口摂取とは異なることを示唆している。) ↩︎
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