こんにちは、ZUTTOWAKAI マガジン編集部です。プロテインの効果と安全性について徹底調査するシリーズもついに20回目。今回はZUTTOWAKAIが独自開発したプロテインに入っているミネラルの1つ「クロム」のおはなしです。
日々のトレーニングに励む50代以上の女性にとって、クロムはあまり馴染みのない栄養素かもしれません。
- 「クロムって、私たちのカラダにどんな良いことがあるの?」
- 「プロテインで摂っても本当に安全なの?」
- 「年齢を重ねた私たちにこそ、必要な理由があるって本当?」
この記事では、そんな疑問に一つひとつ丁寧にお答えします。最新の研究論文や公的機関の情報を基に、クロムの本当のメリットと、賢い付き合い方を分かりやすく解説していきます。あなたの頑張りを最大限に活かすための知識を、ぜひ手に入れてください。
※文章についている※マークは、参考にした研究や公的機関の情報です。
もくじ
「クロム」ってどんな栄養素? 安全なクロムと危険なクロム
まず大切なことからお伝えします。私たちが栄養として口にするクロムと、工業的に問題となるクロムは全くの別物です※1。この違いを知ることが、クロムを正しく理解する第一歩です。
- 三価クロム :こちらが私たちの健康の味方。玄米やブロッコリー、肉類、魚介類など、多くの食品に自然に含まれている安全なミネラルです※2。体内でエネルギー代謝を助けるなど、重要な役割を担っています。もちろん、サプリメントやプロテインに含まれるのも、この三価クロムです
- 六価クロム:こちらは工場排水などで問題となる、毒性の高い工業的な副産物です※3, ※4。自然の食品にはほとんど含まれておらず、私たちの口に入ることはまずありません
この記事では、健康を支える「三価クロム」に焦点を当てて解説します。どうぞご安心ください。
50代からの筋トレに「クロム」がもたらす本当のメリット
クロムは、筋力トレーニングを頑張るあなたのカラダを、内側から支える「縁の下の力持ち」です。その働きを具体的に見ていきましょう。
最大のメリット:エネルギー代謝を助け、カラダの「燃料効率」を高める
クロムの最も重要な役割は、血糖値をコントロールするホルモン「インスリン」の働きをサポートすること※5。
これを例えるなら、インスリンが細胞のドアを開けてエネルギー(糖)を取り込むための「鍵」だとすれば、クロムはその鍵がスムーズに鍵穴に刺さって働くのを助ける「潤滑油」のような存在です。
クロムが十分にあると、食事から摂った糖分は効率よく筋肉などの細胞に届けられます。そうして、トレーニングの原動力となるのです。つまり、カラダの「燃料効率」をクロムはまず高めます。次に、あなたの頑張りが無駄にならないようサポートしてくれる。それがクロムなのです※6。
科学が認める効果:血糖値の安定をサポート
クロムの健康効果の中で、科学的根拠が最も豊富なのが、血糖コントロールの改善作用です。
複数の質の高い研究結果を統合した「メタアナリシス」という信頼性の高い分析で、2型糖尿病の方がクロムを摂取すると、血糖値の管理が有意に改善されることが一貫して示されています※7, ※8。具体的には、空腹時の血糖値や、過去1〜2ヶ月の血糖値の平均を反映するヘモグロビンA1c(HbA1c)の値が改善することが報告されています。
年齢とともに血糖値が気になり始める方は少なくありません。クロムは、そうした方の健康管理においても心強い味方となる可能性を秘めています。
期待される効果:脂質バランスへの良い影響
クロムの働きは、糖の代謝だけにとどまりません。血液中の脂質、つまり中性脂肪やコレステロールのバランスを整える効果も期待されています。
先ほどご紹介したメタアナリシスでは、クロムの摂取が中性脂肪を低下させ、善玉(HDL)コレステロールを増加させる可能性も示されました※9。これらは動脈硬化のリスクを減らし、しなやかな血管を維持する上で非常に重要です。
【重要】クロムは筋肉を直接大きくする? 最新研究の答え
では、クロムは直接筋肉を大きくしてくれるのでしょうか? これは多くの方が気になる点ですが、科学的な答えは「直接的にはそうではない」です。
実際、50代から70代の女性が筋力トレーニングをしながら高用量のクロムを摂取した質の高い研究では、クロムが筋力や筋肉量の増加をさらに後押しする効果は見られませんでした※10。
しかし、これはがっかりする話ではありません。主役はあくまで、あなたのトレーニングや食事への頑張りです。クロムは、その頑張りを最大限に活かすための、体の「エネルギー効率」を高める名サポーターなのです。あなたの努力がしっかりと結果につながるよう、体の土台を整えてくれる、それがクロムの本当の価値と言えるでしょう。
安全性は? 安心して続けるための知識と注意点
クロムは非常に安全性の高いミネラルですが、安心して続けるために、摂取量や注意点について正しく知っておきましょう。
クロムの安全性と摂取量のポイント早わかり表
| 項目 | ポイント |
| 安全な種類 | 食事やサプリで摂るのは安全な「三価クロム」。工業用の有害な「六価クロム」とは全くの別物です※11, ※12 |
| 日本の目安量 | 1日に10µg(マイクログラム)が目安です※13。通常の食事で不足することは稀とされています |
| 上限の量 | 日本では「耐容上限量」は設定されていません。これは、三価クロムの吸収率が非常に低く、通常の利用で過剰摂取になる危険性が極めて低いためです※14 |
| サプリの注意量 | 世界保健機関(WHO)などは、サプリメントからの追加摂取は1日250µgを超えないのが賢明としています※15。プロテイン SUPER DRINK に含まれる3µgは、この基準よりはるかに少ない安心な量です |
| 特に注意が必要な方 | 腎臓や肝臓に持病のある方、特定の薬を服用中の方、まれなクロムアレルギーの方は、摂取前に医師への相談が必要です※16, ※17 |
どのくらい摂ればいいの?
日本の厚生労働省は、成人女性のクロム摂取の「目安量」を1日10µgと定めています※18。これは、ほとんどの人が不足しない量です。
一方で、クロムには「これ以上摂ると健康に害が出る可能性がある」という「耐容上限量」が設定されていません。なぜなら、三価クロムは体内への吸収率が摂取した量のわずか0.4%〜2.5%程度と非常に低く、過剰摂取のリスクが極めて低いと考えられているためです※19, ※20。
ただし、だからといって無制限に摂って良いわけではありません。世界保健機関(WHO)などの国際的な専門機関は、予防的な観点から「サプリメントによる追加の摂取は、1日250µgを超えないようにするのが賢明だろう」という見解を示しています※21。
ZUTTOWAKAIのプロテイン1食分に含まれるクロムは3µg。日本の目安量の約3割であり、国際機関が示す注意喚起の量よりもはるかに少ないため、毎日安心してご利用いただけます。
サプリメント利用で特に注意したいこと
クロムはほとんどの人にとって安全ですが、以下に該当する方は、サプリメントを利用する前に必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談してください。
- クロムアレルギーの方:非常にまれですが、腕時計の革バンドや金属などで皮膚がかぶれた経験がある方は、クロムを口から摂取すると全身に皮膚症状が出ることがあります※22
- 腎臓や肝臓に持病のある方:ごくまれな事例として、クロムのサプリメントによる腎臓や肝臓への影響が報告されています。持病のある方は自己判断での摂取は避けましょう※23
- お薬を服用中の方:糖尿病の治療薬(インスリンなど)と併用すると、血糖値が下がりすぎる可能性があります。また、甲状腺の薬(レボチロキシンなど)の効果を弱める可能性も指摘されています※24
まとめ:クロムはあなたの健康的な習慣の「名脇役」
今回は、ミネラル「クロム」について解説しました。最後に、大切なポイントを振り返りましょう。
- 安全なミネラル:食品やサプリに含まれる「三価クロム」は非常に安全です。ただし、まれなアレルギーや特定の持病がある方は注意が必要です
- 本当のメリットは「代謝サポート」:筋肉を直接増やすのではなく、インスリンの働きを助けてエネルギー効率を高め、血糖値や脂質のバランスを整えるのが主な役割です
- 主役はあなた:あなたの筋力や筋肉を作るのは、日々のトレーニングとバランスの取れた食事です。クロムは、その努力が実を結ぶよう、体の内側から支える「名脇役」です
- 年齢と共に意識したい:年齢を重ねると、体内のクロムを保持する能力が低下する可能性が指摘されています※25。意識的に食事から摂ることが、より大切になります
クロムは、私たちの体を静かに、しかし力強く支えてくれる存在です。その正しい役割を理解し、日々の健康習慣に賢く取り入れて、これからも健やかな毎日を送りましょう。
次回予告
続いては、SUPER DRINKに配合しているセレンについて、「体にとっての大切なはたらき」と「安全性」をわかりやすくご紹介。
下の画像をタッチでお読みいただけます。数分で読める美容と健康に役立つ記事。お仕事のお昼休み中やお休み前のひと時にどうぞ。
出典・参考文献 一覧
- 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所. 「「健康食品」の安全性・有効性情報 – クロム」.(食品に含まれる安全な三価クロムと、工業的に産出される毒性の強い六価クロムは異なるものであることを解説している。) ↩︎
- 内閣府 食品安全委員会. 「食品安全総合情報システム – 食品中のクロムについて」.(クロムが海藻、肉類、魚介類など幅広い食品に含まれる必須栄養素であり、インスリンの効果を発揮させるうえで必要であることを解説している。) ↩︎
- (再掲)国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所. 「「健康食品」の安全性・有効性情報 – クロム」. ↩︎
- 愛知県衛生研究所. 「六価クロムについて」.(六価クロムは主に工業的な要因で発生し、人に対する発がん性が認められていることを解説している。) ↩︎
- (再掲)内閣府 食品安全委員会. 「食品安全総合情報システム – 食品中のクロムについて」. ↩︎
- Linus Pauling Institute, Oregon State University. “Chromium”. Micronutrient Information Center.(オレゴン州立大学ライナス・ポーリング研究所によるクロムに関する包括的なレビュー。インスリンの作用を増強する働きや、体内での吸収率が0.4%〜2.5%と低いことなどを解説している。) ↩︎
- Suksomboon N, et al. “Systematic review and meta-analysis of the efficacy and safety of chromium supplementation in diabetes”. J Clin Pharm Ther. 2014;39(3):292-306.(25件の臨床試験を統合したメタアナリシス。糖尿病患者において、クロムの補給がヘモグロビンA1cや空腹時血糖値を有意に改善し、中性脂肪を低下させ、善玉コレステロールを増加させたこと、また安全性にも問題がなかったことを示している。) ↩︎
- Wan S, et al. “The effects of chromium supplementation on cardiometabolic risk factors: A dose-response meta-analysis”. JACC: Advances. 2023;2(10):100729.(最新の用量反応メタアナリシス。2型糖尿病患者において、クロム補給が空腹時血糖値やヘモグロビンA1cなどの血糖マーカーを改善することを示している。) ↩︎
- (再掲)Suksomboon N, et al. “Systematic review and meta-analysis of the efficacy and safety of chromium supplementation in diabetes”. ↩︎
- Campbell WW, et al. “Effects of resistive training and chromium picolinate supplementation on body composition and skeletal muscle size in older women”. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2002;12(2):125-35.(54歳から71歳の女性を対象としたランダム化比較試験。12週間の筋力トレーニング中に高用量のクロムを摂取しても、筋力、除脂肪体重、筋線維のサイズ増加において、プラセボ(偽薬)群との間に差はなかったことを報告している。) ↩︎
- (再掲)国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所. 「「健康食品」の安全性・有効性情報 – クロム」. ↩︎
- (再掲)内閣府 食品安全委員会. 「食品安全総合情報システム – 食品中のクロムについて」. ↩︎
- 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」.(日本における最新の食事摂取基準。クロムの目安量を成人で1日10µgと設定し、通常の食事からの摂取では過剰摂取のリスクが極めて低いことから耐容上限量を設定していないことを示している。) ↩︎
- (再掲)厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」. ↩︎
- 内閣府 食品安全委員会. 「ファクトシート:クロム」.(世界保健機関(WHO)がサプリメントとしてのクロムの補助的摂取について、1日当たり250µgを超えるべきではないとしていることを記載している。) ↩︎
- MSDマニュアル家庭版. 「クロム」.(まれに腎臓や肝臓の損傷が報告されているため腎臓病や肝臓病の人は摂取すべきでないこと、また糖尿病治療薬や甲状腺ホルモン補充療法(レボチロキシン)との相互作用の可能性について解説している。) ↩︎
- Fowler JF Jr. “Systemic contact dermatitis to chromium picolinate”. Cutis. 2000;65(2):116.(クロム酸塩アレルギー(金属や革製品による接触皮膚炎)を持つ人が、サプリメントでクロムを内服した際に全身性の接触皮膚炎を発症した症例を報告している。) ↩︎
- (再掲)厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」. ↩︎
- (再掲)Linus Pauling Institute, Oregon State University. “Chromium”. Micronutrient Information Center. ↩︎
- (再掲)厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」. ↩︎
- (再掲)内閣府 食品安全委員会. 「ファクトシート:クロム」. ↩︎
- (再掲)Fowler JF Jr. “Systemic contact dermatitis to chromium picolinate”. Cutis. 2000;65(2):116. ↩︎
- (再掲)MSDマニュアル家庭版. 「クロム」. ↩︎
- (再掲)MSDマニュアル家庭版. 「クロム」. ↩︎
- Offenbacher EG, et al. “Chromium in the elderly”. Biol Trace Elem Res. 1992;32:123-31.(高齢者におけるクロム代謝に関するレビュー。加齢に伴い尿中へのクロム排泄が増加し、体内にクロムを保持する能力が減少する可能性を指摘している。) ↩︎
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