こんにちは、ZUTTOWAKAI マガジン編集部です。プロテインの良い点と安全性について徹底調査するシリーズの21回目。今回はZUTTOWAKAIが独自開発したプロテイン SUPER DRINK に入っているミネラルの1つ「セレン」のおはなしです。
今回ご紹介する「セレン」は、鉄や亜鉛と同じように、体にとって必要不可欠な微量ミネラル(微量栄養素)の仲間。ZUTTOWAKAIのプロテイン『SUPER DRINK』には、このセレンが体の機能を最適化するようにごく少量ですがセレンを配合しています。
セレンは、その強力な抗酸化作用や筋肉の維持を助ける働きから、特に活発な生活を送る50代以降の方にとって非常に大切な栄養素。しかし、「聞きなれない成分だから安全性は大丈夫?」や「長く飲み続けても安心なの?」といったご懸念の声も耳にします。
この記事では、セレンがなぜ安全で、あなたの筋力トレーニングの効果を最大限に引き出すために不可欠なのかを、最新の科学的データや公的機関の基準に基づき、わかりやすく解説します。
※文章についている※マークは、参考にした研究や公的機関の情報です。
もくじ
1. 飲みすぎの心配は一切なし!セレンの安全性と摂取量
ミネラルをサプリメントで摂取する場合に最も気になるのは「過剰摂取」のリスクです。セレンは体に必要な必須栄養素。ですが、その分、摂りすぎると健康に悪影響を及ぼす(中毒)可能性があることも知られています。
1.1. 日本の基準から見た『SUPER DRINK』の安心設計
セレンを含むの栄養素には、健康な人が毎日摂取しても健康被害を起こさないとされる「耐容上限量(UL)」が公的な基準として定められています。
各国・地域の基準は、最新の研究に基づき厳しく設定されています。例えば、日本の厚生労働省の基準では、成人の耐容上限量を350マイクログラム(µg)/日としています。他方、米国国立衛生研究所(NIH ODS)では400µg/日。そして、欧州食品安全機関(EFSA)による2023年の最新の見直しでは、より保守的な255µg/日が設定されています ※1 ※2 。
一方、『SUPER DRINK』1食分に含まれるセレンはわずか9µgです。これは、成人女性の1日の推奨量(55µg/日)の約2割にあたる量 ※3、最も厳しい欧州の耐容上限量(255µg)と比較しても、そのわずか3.5%程度にすぎません。
つまり、通常の食事に加えてSUPER DRINKを毎日飲んだとしても、世界のどの安全基準の上限値にも遠く及ばない安心の量。したがって、過剰摂取の心配は全くありません。この設計は、会員の皆さんに長期にわたって安心して愛飲いただくための、厳密な安全管理に基づいています。
1.2. セレン中毒(セレノーシス)の真実
セレンが過剰になった場合の中毒症状を「セレノーシス」と呼びます。これは、数百〜数千µg/日といった極めて大量のセレンを何年にもわたって摂取し続けた場合にのみ発生するもの ※4 。具体的な症状としては、初期段階で髪の毛が抜けたします(脱毛)。あるいは、爪が変形したりすることも知られています ※5 。
このような中毒リスクの存在は、セレンが体内で強力に作用する必須栄養素であることの裏返しとも言えます。しかし、このような症状は、セレン含有量が極端に高い地域の食事や、サプリメントの過剰な誤用によって引き起こされるもの。プロテイン SUPER DRINK の規定量を摂取する範囲では起こりえません ※6 。
セレンは、体に吸収された後、必要な分だけ利用されます。そして、余分な分は速やかにおしっこなどによって体外に排出されるのです。したがって、体内に有害に蓄積する心配がないミネラルといえます ※7 。
セレンの摂取目安量と安全な上限量の比較
| 項目 | 50歳以上の女性の推奨量 (RDA) | 安全に摂れる上限量 (UL) | SUPER DRINK 1食分の量 |
| 日本の基準(厚労省) | 55 µg/日 | 350 µg/日 | 9 µg (上限の約3%以下) |
| 米国の基準(NIH ODS) | 55 µg/日 | 400 µg/日 | 9 µg (上限の約2%以下) |
| 欧州の基準(EFSA, 2023年) | – | 255 µg/日 | 9 µg (上限の約3.5%以下) |
2. なぜ筋トレ世代にセレンが必要なのか?〜運動と筋肉を支える3つの利点
セレンは単に安全なだけではありません。筋力運動に励む50代以降の女性の健康維持を、科学的にサポートする重要な役割を持っています。
2.1. 運動後の疲れを早く解消!「体のサビ」を防ぐ抗酸化作用
私たちが筋力トレーニングを行うとき、筋肉は強くなりますが、同時に体内で「活性酸素」と呼ばれる物質が多く発生します。活性酸素は、いわば「体のサビ」。過剰になると細胞にダメージを与えます。その結果、筋肉の炎症や疲労の原因となったりも…。これが、運動後の疲労感がなかなか取れない原因の一つです。
セレンは、この活性酸素に対抗する体内の防御システムの最前線で働きます。セレンは、体内で「セレノプロテイン」という特殊なタンパク質を作るために不可欠な材料です ※8 。セレノプロテインは、非常に強力な抗酸化酵素として機能します。つまり、活性酸素を無毒化する「サビ取り役」として働くのです。
セレンが十分に足りている状態であれば、激しい運動によって生じた細胞のダメージや炎症が速やかに抑えられ、筋肉の疲労回復が早まることが研究で示唆されています ※9 。
2.2. 50代以上の筋力維持をサポート:サルコペニア予防の最新知見
年齢を重ねるとともに筋肉が減り、握力や歩く力が弱くなる現象を「サルコペニア」(筋肉の老化)といいます。これは、50代以上の女性が健康寿命を延ばす上で避けて通れない大きな課題です。
セレンは、この筋肉の老化を防ぐための賢い栄養戦略として注目されています。単なる抗酸化作用だけでなく、筋肉の機能維持に必須な特殊なセレノプロテイン(SELENONなど)の生成に関わっているのがセレン ※10 。このセレノプロテインは、筋肉が収縮するために必要なカルシウムの放出を調整するなど、筋肉細胞の根幹を支える働きをしています。この機能が保たれることで、運動時の筋疲労や筋力低下の進行を遅らせる可能性があります。
2023年に発表された最新の系統的レビューでも、セレンはマグネシウムとともに、高齢者の筋力や身体機能の維持に「潜在的な役割」を果たすことが指摘されています ※11。
さらに、約19,000人の米国成人を対象とした大規模なコホート研究(NHANESデータ解析)では、セレンの摂取量が多い高齢者ほど、サルコペニアになる割合が低いという明確な逆相関が示されました ※12。この研究では、セレン摂取量が最も少ないグループと比較して、適量のセレンを摂っているグループは、サルコペニアのリスクが20%から最大39%も低減したと報告されています ※13。
セレンは、私たちがせっかく行った筋力トレーニングの効果を裏側から支え、将来的な筋肉の老化を防ぐための「筋肉の健康の裏方」ミネラルと言えるでしょう。
3. セレンは新しい成分ではない:必須栄養素としての歴史と実績
セレンは、一部のサプリメントに配合されるようになってから日が浅い成分のように聞こえるかもしれませんが、実は人類が長きにわたり摂取してきた、信頼性の高い必須栄養素です。
3.1. 必須栄養素の証明:克山病の教訓
セレンは、1817年にスウェーデンの化学者ベルセリウスによって発見されましたが ※14、それよりも遥か以前から、土壌や海を通じて食物連鎖に入り込み、人類は自然にセレンを摂取してきました。
セレンが人間の健康にとって「必須」であることを決定づけたのは、歴史的な欠乏症の事例です。中国のセレンが極端に少ない地域では、かつて「克山病(クーシャン病)」と呼ばれる、心臓の筋肉が弱くなる重篤な病気が多発していました ※15。
この克山病は、セレンの慢性的な欠乏が主要な原因であることが特定されました。その後、政府によるセレン補給政策(食塩や農作物へのセレン添加)が実施された結果、克山病の発生率は劇的に減少しました ※16 。この事実は、セレンが単に「あると良い」成分ではなく、「生命の維持に不可欠」な成分であることを、公衆衛生レベルで証明しています。
3.2. 公的な信頼性:国が推奨する必須栄養素
セレンの重要性は、現代においても公的機関の政策に強く反映されています。
例えば、フィンランドでは、土壌中のセレン濃度が低かったため、1984年以降、国内で流通するすべての肥料にセレンを添加する政策を実施しました ※17。この結果、国民全体のセレン摂取量が安全かつ効果的に増加し、人間だけでなく家畜の健康状態も改善したことが報告されています ※18。
また、最も厳格な安全基準が求められる乳幼児の栄養においても、セレンは必須成分とされています。米国では2015年、食品医薬品局(FDA)が乳児用ミルク(調製粉乳)の必須栄養素リストにセレンを追加する最終規則を発効させました ※19。
乳児用ミルクの成分は、その必須性、安全性、そして効果が徹底的に検証されます。セレンがこの必須リストに含まれているという事実は、その重要性と信頼性が国際的に確立されていることを示す、最も確かな根拠の一つです。
まとめ:毎日安心してとれる、あなたの努力を支えるミネラル
ZUTTOWAKAIのオリジナルプロテイン『SUPER DRINK』に含まれるセレンは、健康を支える上で不可欠な必須栄養素であり、皆様の筋力トレーニングによる努力を科学的にサポートするために、最適な量が配合されています。
- セレンは、特に筋肉の健康と疲労回復に大切な「体のサビ取り役」です ※20
- 摂取量は1食分9µgであり、公的な安全上限量(UL)と比べて極めて少量です ※21
- 毎日長期間摂取しても、過剰摂取や中毒(セレノーシス)の心配は一切ありません ※22
- セレンは、国が公衆衛生上必須と認めるほど、信頼性の高い栄養素です ※23 ※24
健康維持と筋力向上を目指す50代、60代の皆様にこそ、毎日の筋力運動と併せて、この「縁の下の力持ち」であるセレンを、安心して続けていただきたいと思います。
次回予告
次回は、同じく体に必要なミネラルの「銅」についてご紹介します。下の画像をタッチでご笑覧ください。
出典・参考文献 一覧
- National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. “Selenium – Health Professional Fact Sheet”.(米国の国立衛生研究所(NIH)による医療専門家向けのファクトシート。セレンの推奨量(RDA: 55 µg/日)および耐容上限量(UL: 400 µg/日)などの摂取基準を解説している。) ↩︎
- EFSA NDA Panel. Scientific Opinion on the Tolerable Upper Intake Level for Selenium. EFSA Journal. 2023 21(1):e07704.(欧州食品安全機関(EFSA)によるセレンの耐容上限量(UL)に関する最新の科学的意見。過剰摂取による早期の有害作用として脱毛を特定し、成人ULを255 µg/日に設定した研究。極端な高用量摂取でのみセレン中毒のリスクがあると示している。) ↩︎
- (再掲)National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. “Selenium – Health Professional Fact Sheet”. ↩︎
- (再掲)EFSA NDA Panel. Scientific Opinion on the Tolerable Upper Intake Level for Selenium. EFSA Journal. 2023 21(1):e07704. ↩︎
- (再掲)EFSA NDA Panel. Scientific Opinion on the Tolerable Upper Intake Level for Selenium. EFSA Journal. 2023 21(1):e07704. ↩︎
- Office of Dietary Supplements (NIH). Selenium Fact Sheet for Health Professionals.(米国の国立衛生研究所(NIH)による医療専門家向けのセレンに関する包括的なファクトシート。適切な摂取量であればセレンは安全性が高く、通常のアレルギー反応は報告されていないと解説している。) ↩︎
- (再掲)Office of Dietary Supplements (NIH). Selenium Fact Sheet for Health Professionals. ↩︎
- Zhang J. et al. Selenium and Skeletal Muscle Health: Latest Advances and Applications in Sports Nutrition. Nutrients. 2024;16(11):1902.(セレンとセレノプロテインが骨格筋機能の維持に果たす役割をまとめた最新のレビュー。抗酸化作用を通じて運動疲労や筋肉の老化を遅らせるメカニズムについて詳述している。) ↩︎
- (再掲)Zhang J. et al. Selenium and Skeletal Muscle Health: Latest Advances and Applications in Sports Nutrition. Nutrients. 2024;16(11):1902. ↩︎
- (再掲)Zhang J. et al. Selenium and Skeletal Muscle Health: Latest Advances and Applications in Sports Nutrition. Nutrients. 2024;16(11):1902. ↩︎
- van Dronkelaar C. et al. Minerals and Sarcopenia in Older Adults: An Updated Systematic Review. J Am Med Dir Assoc. 2023;24(8):1163-1172.(高齢者のサルコペニア(筋力や筋肉量の低下)の予防および治療におけるミネラルの役割を評価した系統的レビュー。特にセレンとマグネシウムが有益な役割を持つ可能性を指摘している。) ↩︎
- Li J. et al. Dietary selenium intake and sarcopenia in American adults. Frontiers in Nutrition. 2024,11:1449980.(米国の成人約19,000人の大規模コホート研究(NHANES)のデータ解析。セレン摂取量が多いグループは、サルコペニアの有病率が有意に低い(最大39%減)という逆相関を示している。) ↩︎
- (再掲)Li J. et al. Dietary selenium intake and sarcopenia in American adults. Frontiers in Nutrition. 2024,11:1449980. ↩︎
- National Research Council (US) Subcommittee on Selenium. Selenium in Nutrition: Revised Edition. Washington, DC: National Academies Press; 1983.(米国の国立研究会議によるセレンの栄養学的位置づけに関する歴史的文書。セレンが元素として発見された歴史や栄養学的な必須性について詳述している。) ↩︎
- Zou M. et al. The Importance of Selenium in Keshan Disease. Biological Trace Element Research. 2012;147(1-3):27-31.(中国の風土病であった克山病(心筋症)がセレン欠乏を主要因とすることを確認したレビュー。セレン補給が有効な予防策であったことを示している。) ↩︎
- (再掲)Zou M. et al. The Importance of Selenium in Keshan Disease. Biological Trace Element Research. 2012;147(1-3):27-31. ↩︎
- Alfthan G. et al. Effects of nationwide addition of selenium to fertilizers on foods, and animal and human health in Finland: from deficiency to optimal selenium status of the population. J Trace Elem Med Biol. 2015;31:142-147.(フィンランドが1984年以降に実施した肥料へのセレン添加政策が、国民全体のセレン摂取量を安全かつ効果的に増加させたことを報告している。) ↩︎
- (再掲)Alfthan G. et al. Effects of nationwide addition of selenium to fertilizers on foods, and animal and human health in Finland: from deficiency to optimal selenium status of the population. J Trace Elem Med Biol. 2015;31:142-147. ↩︎
- Food and Drug Administration (FDA). Infant Formula: The Addition of Minimum and Maximum Levels of Selenium to Infant Formula and Related Labeling Requirements. Federal Register. 2015, 80 FR 35834.(米国FDAが乳児用ミルクの必須栄養素リストにセレンを追加し、最小・最大レベルを設定した最終規則。セレンが乳児の健康に必要な必須成分であることを公的に認めた文書。) ↩︎
- (再掲)Zhang J. et al. Selenium and Skeletal Muscle Health: Latest Advances and Applications in Sports Nutrition. Nutrients. 2024;16(11):1902. ↩︎
- (再掲)National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. “Selenium – Health Professional Fact Sheet”. ↩︎
- (再掲)Office of Dietary Supplements (NIH). Selenium Fact Sheet for Health Professionals. ↩︎
- (再掲)Zou M. et al. The Importance of Selenium in Keshan Disease. Biological Trace Element Research. 2012;147(1-3):27-31. ↩︎
- (再掲)Food and Drug Administration (FDA). Infant Formula: The Addition of Minimum and Maximum Levels of Selenium to Infant Formula and Related Labeling Requirements. Federal Register. 2015, 80 FR 35834. ↩︎
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