24時間ジムの退会率はなぜ高い?その理由を上場企業のデータから検証【後編】

こんにちは、ZUTTOWAKAI マガジン編集部です。最近見かける「運動を教えてくれるトレーナーがいない24時間ジム」。スタッフがいない代わりに、24時間いつでも利用できる気軽さから、特に初めてジムに通う人の選択肢として注目されています。

一方で、トレーナー(運動講師)が常にいて、フォームや重さの調整をサポートしてくれる「指導付きジム」も根強い人気があります。週2回で良い健康運動ZUTTOWAKAIも指導付きジムです。

では、健康が気になりはじめた60代以上の方にとって、トレーナーがいない24時間ジムと指導付きジムのどちらが本当に安心で、効果的に運動を続けられるのでしょうか?

「安全性」「トレーニングの効果」について比較した前編に続き、後編となる今回は「運動の続けやすさ」「サポートの違いによる安心感」についてご紹介します。

24時間ジムと指導付きジムの調査結果まとめ

前編でもご紹介したとおり、今回の調査では以下のような違いが明らかになっています。

比較ポイント24時間ジム指導付きジム
1.安全性自己責任。ケガや事故のリスクありフォームチェックや緊急対応ができる
2.効果自己流では効果が出にくいことも個々人に合った重りと器具の高さ調整で効果が出やすい
3.続けやすさサボりやすく、続かない人も多い仲間や予約で習慣化しやすい
4.安心感孤独になりがち。相談相手がいない不安を相談できる・運動時の動きを見てもらえる安心感

前編では「1.安全性」「2.効果」を解説しました。

今回の後編では、「3.続けやすさ」「4.安心感」を詳しく見ていきましょう。

3.続けやすさ(習慣化)の違い

24時間ジムは「やり方も効果もわからない」との声

せっかく運動を始めても、続かなければ効果が出ません。実は、「通い続けられるかどうか」でも、トレーナーがいるかどうかが大きな差になります※1

トレーナーがいない24時間ジムでは、自分の好きな時間に通えるという自由さがメリットですが、その反面「トレーナーがいないので行かなくても誰にも何も言われない」のが難点。ついサボってしまいがちです。

また、とくに初心者の方には、トレーナーがいない24時間ジムは「何をすればいいかわからない」「効果がわからず不安」といった悩みも多く、途中でやめてしまうケースも見られます。

例えば次のような声です。

https://twitter.com/chonz358/status/1371295096780427264

24時間ジムの退会率と休会率の合計は業界目安の2倍以上も高い

その結果、トレーナーがいない24時間ジムの退会率や休会率は大変なことになっています。

例えば、東証プライム上場の24時間ジム大手で日本国内1,100店舗以上を展開するエニタイムフィットネス。退会率と休会率の合計がエニタイムフィットネスでは12.9%〜8.2%まで悪化しています 2。フィットネスジム業界目安の3〜5%と比べると2倍以上。業界平均と比べて高水準です。

24時間ジムは入会しても「運動のやり方も、効果も、わからない」→退会と休会の合計がジム業界の目安の2倍。つまり、24時間ジムは続けにくいといえそうです。

指導付きジムのほうが続きやすい理由

トレーナー指導ジムでは、予約を入れたり、トレーナーや仲間とのやり取りがあることで、「今日は行こう」と思いやすくなります。実際に、「トレーナーが応援してくれるから飽きずにできる」という声が多く、運動を続ける力になっていることが研究論文でわかっています ※3

運動習慣が定着しやすい理由は、こうした人との関わりです4。グループでの運動は、一緒にがんばる仲間がいることでやる気が出たり、励まし合ったりできるので、自然と習慣になっていくのです。

仲間の存在が続けるチカラに

人と一緒に運動すると、ひとりでやるよりも長く続けられたり、高い負荷でも頑張れることがわかっています ※5。たとえば、「自分より体力のある人と一緒に運動したときの方が、自分だけのときよりも長くがんばれた」という研究結果もあります。

仲間と一緒に頑張ることで、「また行こう」「次もやってみよう」という前向きな気持ちが生まれ、自然と継続につながっていきます。ジムによっては、利用者同士が声をかけ合えるイベントや雰囲気づくりに力を入れているところもあります。

利用者の声と専門家の意見

トレーナーがいるジムを選んだ方の多くは、「運動時の動き(フォーム)を教えてもらえる点」「修正してもらえる点」を高く評価しているという研究論文があります。運動をする人のうち、特に女性がトレーナーの指導を大切に考えているという傾向も指摘しています ※6

また、トレーナーはただの「教える人」ではありません。美容と健康に取り組む行動を変える手助けをしてくれる「応援者」であると専門家も示しています ※7。特に中高年の方にとっては、「この運動で合っているのかな?」「自分にも続けられる?」という不安を和らげてくれる存在でもあるのです。

反対に、トレーナーがいない24時間ジムを利用している人の中には、「気軽に通えるのがいい」という声もある一方で、先ほどご紹介したSNSの声のように「何をすればいいかわからない」「効果もわからない」といった不安の声もあります。

その結果、「安さに惹かれて入会したけど、モチベーションや気力が低下して幽霊会員になった」という声がSNSには多数あります。

まとめ

トレーナーがいない24時間ジムとトレーナー指導ジムを比べてみると、それぞれにメリットと注意点があります。

比較ポイント24時間ジム指導付きジム
1.安全性自己責任。ケガや事故のリスクありフォームチェックや緊急対応ができる
2.効果自己流では効果が出にくいことも個々人に合った重りと器具の高さ調整で効果が出やすい
3.続けやすさサボりやすく、続かない人も多い仲間や予約で習慣化しやすい
4.安心感孤独になりがち。相談相手がいない不安を相談できる・運動時の動きを見てもらえる安心感

もちろん「どちらが良いか」は人によって異なります。ですが、これまで運動をあまりしてこなかった方や、体調に不安がある方、50代以上のシニア世代にとっては、トレーナー(運動講師)がしっかりあなたを見てくれるトレーナー指導ジムの方が安心・安全で続けやすいといえるでしょう。

  1. Effects Of Supervised Training And Unsupervised Training On Muscular Endurance And Cardiovascular Parameters ↩︎
  2. 「中期経営計画(2024年3⽉期〜2026年3⽉期)」株式会社Fast Fitness Japan(東証プライム市場 7092) ↩︎
  3. Supervised Versus Unsupervised Exercise for the Improvement of Physical Function and Well-Being Outcomes in Older Adults: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials ↩︎
  4. Group versus individual approach? A meta-analysis of the effectiveness of interventions to promote physical activity ↩︎
  5. Comparing the impact of personal trainer guidance to exercising with others: Determining the optimal approach ↩︎
  6. Supervision during resistance training: a comparison of trainer and trainee perceptions ↩︎
  7. Supervision during resistance training: a comparison of trainer and trainee perceptions ↩︎

太田祥平@ZUTTOWAKAI

太田祥平@ZUTTOWAKAI

1973年長崎県南島原市生まれ。明治大学政治経済学部政治学科卒業。ZUTTOWAKAIチーフトレーナー。2013年ドコモ・イノベーションビレッジ第2期採択。2013年4月4日テレビ東京系『カンブリア宮殿』出演。 【趣味】食べ放題店巡り。食べ放題に通っても太らない体になるため筋トレを開始しました 【子どもの頃】隣に住む祖母が大好きでした。でも、祖母は寝たきり。「祖母が元気になると良いのに」という願いもその後、筋トレを極めるきっかけに 【大人になってから】晋遊舎などで、ヨガ誌・女性向けダイエット誌の出版編集者として勤務

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