こんにちは、ZUTTOWAKAI マガジン編集部です。プロテインの安全性について徹底調査するシリーズの13回目。今回は、「ビタミンE」の安全性をご紹介します。
この記事では、ビタミンEがトレーニングを頑張る50代以上の女性にとって、具体的にどのような良い点をもたらすのか、そして安全性について、信頼できる科学的な情報をもとに、専門用語をできるだけ使わずに分かりやすく解説します。
なお、文章についている※印はどの論文あるいは公的機関の見解に記載があるかを示します。
もくじ
科学が示すサポート力:ビタミンEがトレーニング効果を高める仕組み
ビタミンEの最も大きな特長は、その強力な「抗酸化作用」です。この力が、トレーニングを行う私たちの身体にとって、具体的にどのように役立つのかを見ていきましょう。
運動によって生まれる「細胞のサビ」とその意味
運動は健康に良いものですが、同時に体内では「活性酸素」という物質が活発に作り出されます。これを、鉄が錆びる現象になぞらえて「細胞のサビ」とイメージすると分かりやすいかもしれません。この活性酸素は、細胞を傷つけ、筋肉の疲労や炎症の一因となることがあります 1。
もちろん、これは身体の正常な反応です。しかし、トレーニングの効果を最大限に引き出し、効率よく筋肉を育てていくためには、この「サビ」から細胞を速やかに守り、回復を促すことが重要になります。
ビタミンE:あなたの身体の「サビ止め」役
ここで活躍するのがビタミンEです。ビタミンEは、私たちの細胞膜(細胞を包む壁)などを酸化ダメージから守る、いわば身体の「サビ止め」のような役割を担っています 1。
運動によって発生した活性酸素が細胞を傷つけるのを防ぎ、炎症を抑える働きがビタミンEにはあることが、多くの研究で示唆されています。実際に、複数の研究を統合した分析(メタアナリシス)では、ビタミンEの摂取が体内の炎症マーカーであるC反応性タンパク(CRP)の値を下げる効果があることが報告されています 4。
この「サビ止め」効果こそが、トレーニング後の身体の回復を助け、次のステップへと進むための土台を整えてくれるのです。
確かな証拠:あなたのような女性を対象とした研究結果
「理屈は分かったけど、本当に効果があるの?」と思われるかもしれません。ここで、非常に興味深い研究を一つご紹介します。
中国で行われたある研究では、サルコペニア(加齢に伴う筋肉量の減少)と診断された60歳から75歳の女性を対象に、筋力トレーニングの効果を比較しました ※1。参加者を2つのグループに分け、一方には「筋トレだけ」を、もう一方には「筋トレに加えてビタミンCとビタミンEのサプリメント摂取」を12週間続けてもらいました。
その結果は驚くべきものでした。筋トレのみのグループと比較して、筋トレに加えてビタミンCとEを摂取したグループは、筋肉量と筋力の両方ではるかに大きな改善が見られたのです。例えば、握力の改善幅は、サプリメントを摂ったグループの方が3倍以上も大きかったのです ※2。
研究者たちは、この結果の背景には、ビタミンCとEの抗酸化作用と抗炎症作用が、運動によるダメージからの回復と筋肉の成長をより効果的にサポートしたことがあると考えています ※3。この研究は、筋力トレーニングに励む50代以上の女性にとって、ビタミンEがいかに心強い味方であるかを具体的に示しています。
安全性への確かな視点:「本当に大丈夫?」という疑問に答えます
ビタミンEの利点をご理解いただけたところで、次はその安全性について、客観的なデータをもとに詳しく見ていきましょう。どんな栄養素も、大切なのは「量」です。この点をしっかり押さえれば、何も心配することはありません。
最も重要な要素:摂取する「量」
ZUTTOWAKAIのオリジナルプロテイン「SUPER DRINK」に含まれるビタミンEは、1食あたり2.67mgです。この数値がどのような意味を持つのか、公的な基準と比較してみましょう。
数字を客観的に見る:日本の公式ガイドライン
日本の厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」の中で、各栄養素の摂取に関する2つの重要な指標を定めています ※4。
- 目安量:健康を維持するために十分とされる量。50代〜64歳の女性では、1日あたり6.0mgです。
- 耐容上限量:これ以上摂取すると健康に悪影響が出るリスクが高まる可能性がある、安全な上限の量。50代〜64歳の女性では、1日あたり700mgとされています。
これを表にまとめると、安全性の高さが一目で分かります。
ZUTTOWAKAI「SUPER DRINK」1食分 | 50代女性の1日の摂取目安量(厚生労働省) | 50代女性の安全な上限量(厚生労働省) |
2.67 mg | 6.0 mg | 700 mg |
ご覧の通り、「SUPER DRINK」1食分に含まれるビタミンEは、安全な上限量と比べると250分の1以下という、ごくわずかな量です。日常の食事と合わせても、過剰摂取になる心配はまずないと言えるでしょう。
ニュースの裏側を理解する:高用量摂取のリスクについて
過去に「ビタミンEのサプリメントが、男性の前立腺がんのリスクを高める可能性がある」という研究結果が報道されたのをご存知の方もいるかもしれません ※5。このような情報に触れると、不安に感じるのは当然です。
しかし、ここでも重要なのは「量」です。この研究(SELECT試験と呼ばれます)で対象者が摂取していたビタミンEの量は、1日400 IU(国際単位)でした。これは、天然型のビタミンEに換算すると約268mgに相当します ※6。つまり、「SUPER DRINK」1食分の100倍以上という、極めて高用量での話なのです。
この研究は、どんな栄養素もサプリメントで極端に多く摂ることは推奨されない、という教訓を与えてくれます。しかし、食品に含まれるような、あるいは「SUPER DRINK」のような適正な量での摂取にリスクがあることを示すものでは決してありません。
非常に高い用量では、血液が固まりにくくなる作用が強まり、出血のリスクを高める可能性も指摘されていますが、これも耐容上限量(700mg/日)をはるかに下回る量では心配ありません。
よくあるご質問にお答えします
Q1. 毎日飲み続けても大丈夫ですか?
はい、問題ありません。先ほどご説明した通り、「SUPER DRINK」に含まれるビタミンEの量は、厚生労働省や欧州食品安全機関(EFSA)といった国内外の公的機関が定める安全な上限量を大きく下回っています ※7, ※8。毎日の健康習慣として、安心してお続けいただけます。
Q2. アレルギーの心配はありませんか?
ビタミンEは、クリームやオイルとして肌に塗った場合に、まれに接触皮膚炎というかたちの皮膚アレルギー反応を起こすことが報告されています ※9。しかし、食事やサプリメントとして口から摂取した場合に、アレルギー反応が起きることは極めてまれであり、一般的な心配は不要です。むしろ、ビタミンEには免疫の働きを調整する作用があることも知られています。
Q3. ビタミンEは自然な栄養素ですか?
はい、ビタミンEは決して特殊な化学物質ではなく、古くから人類が食事を通して摂ってきた自然な栄養素です。アーモンドなどのナッツ類、ひまわりの種、植物油などに豊富に含まれており、人類は何千年もの間、これらの食品からビタミンEを摂取してきました。
科学的にその存在が発見されたのは1922年。ですが、私たちの身体が長年にわたって慣れ親しんできた、安全で重要な成分なのです。ちなみに、ビタミンEにはいくつかの種類がありますが、私たちの体内で最も効率よく利用されるのは「alpha-トコフェロール」という形で、食事摂取基準もこのalpha-トコフェロールの量をもとに作られています。
まとめ:あなたの未来のカラダづくりのための、賢い選択
今回の内容をまとめます。
- トレーニング効果を向上:ビタミンEの抗酸化作用は、運動による筋肉のダメージからの回復を助け、特に50代以上の女性が筋力トレーニングでより良い結果を得るのをサポートします ※10。
- 摂取量はきわめて安全:「SUPER DRINK」1食分(2.67mg)の量は、国が定める目安量よりも少なく、安全な上限量(700mg)のわずか0.4%未満です ※11。
- 高用量リスクは無関係:報道されるようなリスクは、SUPER DRINKに配合されたビタミンEの100倍以上を摂取した場合の話であり、適正な量では心配ありません ※12。
- 自然で安心な栄養素:ビタミンEは、ナッツや植物油に含まれる、人類が古くから摂り続けてきた成分です。
栄養に関する正しい情報を知ることは、あなたのフィットネスの旅をより確かなものにします。ビタミンEを賢く味方につけて、あなたの努力を最大限に実らせ、未来の健康なカラダを築いていきましょう。
次回予告
次回は「ナイアシン(ビタミンB3)」についてです。SUPER DRINKに含まれるビタミンB3の量や役割、安全性を詳しく解説。美容と健康に役立つ読み物です。下の写真をタッチでご覧いただけます。
- Zhu, Y., et al. (2023). “The effects of vitamin C and E supplementation combined with resistance training on sarcopenia in older women: a randomized controlled trial”. Journal of Nutrition, Health & Aging. (中国で行われた、60〜75歳のサルコペニア高齢女性を対象としたランダム化比較試験。筋力トレーニングにビタミンCとEの補給を組み合わせることで、筋力トレーニング単独よりも筋肉量と筋力が有意に大きく改善したことを報告している。) ↩︎
- (再掲)Zhu, Y., et al. (2023). “The effects of vitamin C and E supplementation combined with resistance training on sarcopenia in older women: a randomized controlled trial”. Journal of Nutrition, Health & Aging. ↩︎
- (再掲)Zhu, Y., et al. (2023). “The effects of vitamin C and E supplementation combined with resistance training on sarcopenia in older women: a randomized controlled trial”. Journal of Nutrition, Health & Aging. ↩︎
- 公益財団法人長寿科学振興財団. 「ビタミンEの働きと1日の摂取量」. 健康長寿ネット. (厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」に基づき、年齢・性別ごとのビタミンEの目安量と耐容上限量を解説している。50〜64歳女性の目安量は6.0mg/日、耐容上限量は700mg/日と記載。) ↩︎
- Klein, E. A., et al. (2011). “Vitamin E and the Risk of Prostate Cancer: The Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial (SELECT)”. JAMA, 306(14), 1549–1556.(健康な男性35,533人を対象とした大規模なランダム化比較試験。1日400 IU(約268mg)のビタミンEサプリメントを摂取したグループで、プラセボ群と比較して前立腺がんのリスクが17%有意に増加したことを報告している。) ↩︎
- National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. “Vitamin E – Health Professional Fact Sheet”.(米国の国立衛生研究所(NIH)による医療専門家向けのファクトシート。ビタミンEのIU(国際単位)からmgへの換算式(天然型1 IU = 0.67mg $\alpha$-tocopherol)や、高用量摂取のリスクについて科学的根拠を基に解説している。) ↩︎
- (再掲)公益財団法人長寿科学振興財団. 「ビタミンEの働きと1日の摂取量」. 健康長寿ネット. ↩︎
- European Food Safety Authority (EFSA). “Tolerable Upper Intake Level for vitamin E”. EFSA Journal, 20(3):7196.(欧州食品安全機関によるビタミンEの耐容上限量に関する科学的意見。成人におけるビタミンEの耐容上限量を300mg/日と定めており、これは出血リスクの増加を根拠としている。) ↩︎
- Posa, A. C., et al. (2022). “Contact Allergy to Vitamins”. Nutrients, 14(8), 1590.(ビタミン類によるアレルギー性接触皮膚炎(ACD)に関する系統的レビュー。ビタミンEを含むほとんどのビタミンが、化粧品など皮膚への局所適用によってアレルギー反応を引き起こす可能性があることを報告している。) ↩︎
- (再掲)Zhu, Y., et al. (2023). “The effects of vitamin C and E supplementation combined with resistance training on sarcopenia in older women: a randomized controlled trial”. Journal of Nutrition, Health & Aging. ↩︎
- (再掲)公益財団法人長寿科学振興財団. 「ビタミンEの働きと1日の摂取量」. 健康長寿ネット.. ↩︎
- (再掲)Klein, E. A., et al. (2011). “Vitamin E and the Risk of Prostate Cancer: The Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial (SELECT)”. JAMA, 306(14), 1549–1556. ↩︎
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