こんにちは、ZUTTOWAKAI マガジン編集部です。最近よく見かける「運動を教えてくれるトレーナーがいない24時間ジム」。スタッフがいない代わりに、24時間いつでも利用できる気軽さを強調しています。したがって、初めてジムに通う人の選択肢として注目されています。
一方、トレーナー(運動講師)が常にいて、運動の動きを指導したり重さの調整をサポートしてくれる「指導付きジム」も根強い人気があります。週2回で良い健康運動ZUTTOWAKAIも指導付きジムです。
では、健康が気になりはじめた60代以上の方にとってはどちらが良いのでしょう?
トレーナーがいない24時間ジムと指導付きジムのどちらが本当に効果が感じられるのでしょう。そしてどちらが、安心・安全に運動を続けられるのでしょうか?
この記事では前編と後編に分けて、世界各国での研究結果をもとに4つの視点でトレーナーがいない24時間ジムとトレーナー指導ジムの違いをわかりやすく解説します。4つの視点とは次の4つです。
- 安全性
- トレーニングの効果
- 運動の続けやすさ
- サポートの違いによる安心感
「1と2」は今回の前編。「3と4」は次回の後編でレポート。なお、文章についている※印はどの論文あるいは公的機関の見解に記載があるかを示します。
24時間ジムと指導付きジムの調査結果まとめ
まずは、その比較結果をざっくりまとめた表をご覧ください。
比較ポイント | 24時間ジム | 指導付きジム |
---|---|---|
1.安全性 | 自己責任。ケガや事故のリスクあり | フォームチェックや緊急対応ができる |
2.効果 | 自己流では効果が出にくいことも | 個々人に合った重りと器具の高さ調整で効果が出やすい |
3.続けやすさ | サボりやすく、続かない人も多い | 仲間や予約で習慣化しやすい |
4.安心感 | 孤独になりがち。相談相手がいない | 不安を相談できる・運動時の動きを見てもらえる安心感 |
それでは、ここから詳しく見ていきましょう。
1.24時間ジムと指導付きジムの安全性の違い
24時間ジムは間違った運動の動きや事故の恐れ
週2回で良い健康運動ZUTTOWAKAIを含むトレーナーがいるジムでは、正しい運動の動き(フォーム)で安全に運動できるようその場でアドバイスがもらえます。
下のグラフに示されているように、12週間のトレーニング中、トレーナーがいたグループはケガの件数が約半分に抑えられたという研究があります ※1。

他方、トレーナーがいない24時間ジムではフォームのミスや無理な重さによって、思わぬケガにつながることも。実際、2024年には日本国内のトレーナーがいない24時間ジムで、バーベルの下敷きになって運動をしていた人が亡くなったという事故も報告されています※2。
トレーナーや他の人がいればすぐに助けを呼ぶことができます。でも、24時間無人ジムでは周りに誰もいない時間帯も多いです。その結果、緊急時の対応が遅れてしまう恐れがあります。
24時間ジムで発生する犯罪
トレーナーやスタッフがいるジムなら荷物の盗難やトラブルを防ぐことができます。利用者に目が届きやすいからです。
一方、トレーナーがいない24時間ジムでは人の目がないことを逆手にとった犯罪も起こっています。
2023〜2024年には、大阪や京都のトレーナーがいない24時間ジムであるチョコザップで十代の少年が利用者の荷物を繰り返し盗んでいたとして逮捕されました※3。犯人たちは他人のQRコードを悪用し、偽名でジムを出入りしていたとのことです。
SNSでも、トレーナーがいない24時間ジムが「怖かった」という声もあがっています。
シニア世代や持病がある人にとってのトレーナーがいない24時間ジムの不安
とくにシニア世代や体調に不安のある方にとっては、トレーナーがいることの安心感は大きいです。運動中に気分が悪くなったり、心臓や血圧に異変が起きたりした場合でも、スタッフがすぐに気づいてAED(自動体外式除細動器)などで対応できるからです。
ボタンを押して緊急連絡をする仕組みがあっても、トレーナーがいない24時間ジムでは心臓や血圧に異変が起きたりした場合にすぐに助けが来るとは限りません。特に、ひとりで重たい器具を使う筋力トレーニングは、こうした緊急時の対応体制がとても重要です。
2.トレーナーがいない24時間ジムと指導付きジムの運動効果の違い
筋力アップに差が出る指導者の有無
研究によると、トレーナーのサポートがある方が筋力アップしやすいというデータがあります。ある実験では、12週間のトレーニング後、トレーナーがついたグループだけがスクワットの重さ(1回持ち上げられる最大重量=1RM)が大きく増えたという結果が出ました ※4。
トレーナーがつくと、強さに合った重さの設定や、モチベーションの維持もサポートされます。そのため、同じ時間運動しても成果が出やすくなります※5。
また、トレーナーの指導でフォームが正しくなれば、ターゲットの筋肉にしっかり刺激が入るので、効率よく体を鍛えられるのです。
トレーナーがいないジムでの筋肉量の増加は?
筋肉の大きさを増やす「筋肥大」は、正しい方法で行えば一人でも達成できるという研究もあります。ただし、これはある程度経験のある人に限られます。
他方、高齢者(60歳以上)を対象とした研究では、トレーナーがつかないトレーニングよりも、トレーナーが付いたトレーニングの方が除脂肪体重(筋肉)がより多く増えたという研究があります※6。その差は1.05kgも違っています。同じトレーニングをやっても高齢者ではずいぶん効果が異なるといえます。
初心者や高齢者の場合、トレーナーがいないジムや自宅でやるトレーニングでは動きが安定せず筋肉に十分な刺激が入らないからかもしれません。その結果、なかなか筋肉が増えないのです。
生活習慣病や腰痛などへの改善効果の違い
トレーニングの目的は、筋肉をつけるだけではありません。高血圧・糖尿病などの生活習慣病の予防や、膝・腰などの関節の痛みを軽くするために運動を始める方も多いと思います。
研究では、こうした健康改善の面でも「トレーナーのサポートがある方が体脂肪の減少など効果が出やすい」と報告されています※7。筋力や歩くスピード、生活の質(QOL)の面でも、トレーナーが見てくれるグループのほうが数字が良くなったという結果も出ています※8。
また、「慢性腰痛の患者が受けた指導された体幹運動は、治療およびフォローアップ期間中、最もケアに満足し、治療終了時に体幹の筋力と持久力で最大の増加を経験した」いう腰痛のある方を対象にした実験データもあります※9。
つまり、体に不安のある方ほど、専門家のサポートを受けながら無理のない範囲で取り組むことが、安心・安全で効果的なのです。
次回予告
後編では、「継続しやすさ」「安心感(精神的なサポートの違い)」について「24時間無人ジム」と「指導付きジム」を比べていきます。
美容と健康に役立つ調査レポートです。下の画像をタッチでぜひご覧ください。
- Comparing the impact of personal trainer guidance to exercising with others: Determining the optimal approach ↩︎
- ベンチプレス死亡事故に関して ↩︎
- チョコザップで相次ぐ置き引き 「ジム活」で狙われた鍵のない荷物棚 ↩︎
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- Supervised Versus Unsupervised Exercise for the Improvement of Physical Function and Well-Being Outcomes in Older Adults: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials ↩︎
- Supervised exercise, spinal manipulation, and home exercise for chronic low back pain: a randomized clinical trial ↩︎
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