東京・銀座でご活躍の理学療法士 関大輔 先生から「膝の違和感に早めに対処する大切さ」をテーマにZUTTOWAKAIマガジンへ貴重なご寄稿をいただきました。「膝痛や膝の違和感は『寝たきり』へ進む負のループ」──逆に言うと、ちょっとした膝の違和感を今すぐ対処すると寝たきりとは無縁の人生を自分も自分の両親も過ごせそうですね(^^)
膝痛で人生が一変。70代の幸子さんの話
理学療法士としての僕のリハビリ人生で印象に残った患者さんがいます。
仮に幸子さんと呼ぶことにします。幸子さんは、もともと散歩が大好きで元気に過ごされていた70代のおばあちゃん。
膝痛(ひざつう)をきっかけに人生が180度変わってしまったリアルなお話です。
膝痛から歩くこと難しくなってしまった幸子さんは悩んだ末に手術を決断されました。もう一度、前のように散歩をできると期待して幸子さんは手術をしたことでしょう。
しかし、そんな期待とは裏腹に幸子さんに待っていた現実はもう自由がきかない体でした。
散歩を楽しむ自由な生活からベッド上が中心になる寝たきりの状態になってしまったのです。
こんなはずじゃなかった。もう前みたいに散歩もできない。何もできない……。どうかもう一度歩きたい。どうかお願いします
──そう、声を震わせながら幸子さんが話してくださったことを僕は鮮明に覚えています。
もちろん失った体の機能を取り戻すためにリハビリは大切です。ですが、手術をしないために、膝痛を起こさないために、いま何ができるのか、どんな予防ができるのかが、僕はリハビリよりも重要だと考えます。
リハビリを専門にしている僕だからこそ伝えたいことがあります。
こんなにも多い⁉️ 膝で悩まれる方々
「膝に少し違和感があるなぁ……」そのちょっとした気づきを大切にしてください。あなたの少し先の未来を人生を左右するからです。
では膝の痛みを訴える方は、どのくらいいらっしゃるのでしょうか。膝の痛みを主症状とする疾患として変形性膝関節症(膝OAと呼ばれます)が挙げられます。
厚生労働省の調査では、変形性膝関節症の潜在的な患者数は3000万人と推定されています。膝の痛みで悩む方はとても多いのです。
変形性膝関節症の主な症状としては、
- 膝の痛みや違和感
- 膝に水が溜まる
- 膝が伸ばしにくくなる
──といった症状が出てきます。変形性膝関節症の症状が出てきた結果 日常生活では、
- 次第に正座ができなくなる
- 階段を登るときや歩くときにも痛みが生じる
- 『寝たきり』になるリスクが増える
さらに症状がひどくなると『人工の関節』を入れる手術をすることになります。できることであれば、手術はなるべく避けていきたいですよね。
膝痛が起きるメカニズムと負のループ
膝関節は、体重の負荷など様々な衝撃がかかる関節です。その衝撃を緩和するために、膝の周りには靭帯や筋肉が膝を守ってくれています。
しかし、歳を重ねるにしたがって筋肉が弱くなったり体重が増加してくると、骨と骨が次第にぶつかり合うようになり痛みが生じてきます。
筋肉が関節を支えきれなくなってしまった状態です。その状態が、「膝に少し違和感があるなぁ……」などのちょっとした気づきになっていきます。
実は、膝痛や膝の違和感は『寝たきり』へ進む負のループの始まりです。
膝痛や寝たきりを防ぐ運動と筋力の重要性
- 『寝たきり』へ進む負のループに入らないために
- 『寝たきり』へ進む負のループに入ってからでも
ともに重要になってくることは次の2つです。
- 膝痛を起こさないよう予防
- 膝痛が起きても早い段階でケア
この二つに共通して言えるのが運動をして筋力をつけることです。
「高齢になると筋力はつかないのでは?」と疑問に思う方がいるかもしれません。ですが、筋力は何歳になってもつけられます。
筋力をつけると関節への負担が減ります。そうして、膝痛の予防や膝痛の緩和・解消にもつながるのです。
運動で増やした筋力が、膝痛から、そして『寝たきりの人生』から、あなたを守ってくれることでしょう。
筋力を付ける運動によって、寝たきりでなく介護を必要としないあなたは、あなたの家族の時間も守っています。そして高齢化問題がある中で明るい社会にも貢献しています。
「こんなはずじゃなかった……」と 70代の幸子さんのように後悔する前に、無理ない範囲から、できることから運動と筋力強化を始めてみてください。
「筋力を付ける運動をやっててよかった」と言える日が必ずきます。
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